ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Review 06       WCF盤    Last Live Show

 詳細データ→SHEA0206までのシェア・スタジアムのライブを収録したブートレッグは、いわゆるWCFと呼ばれるブートレッガーによるものである。WCFとはWhite Cover Folksの略でカナダにおいて発行されていたHot Wacksの中でそう名付けられた。

 この機会に少し詳しく話すと、Hot Wacks Vol.1&2(同時に最初に発売)の巻頭においては「Amazon Records」という名で紹介された。そして、それぞれのページのリスト中においてタイトルの後に「WCF」付け加えられた。これだけではよくわからないためか、Second Editionの巻頭に少しだけ説明があり、「毎回違う名前を使う会社があり、白いジャケットに入った厚い黒い LP で、話をわかりやすくするために、私は彼らを White Cover Folks (WCF) と呼んでいる。 『Hot Wacks』の初版では、Berkeley Recordsというレーベル名をまだ使っていなかったため、Amazon Records と呼んだ」と書かれてある。つまりは、ブートレッグのタイトルごとに社名を変更するブートレッガーで、白いカバーに入っているのでWCFと便宜的に著者がそう呼び始めたということで、Hot Wacks初版の時はBerkeley盤がまだ登場していなかったということなのである。(なぜAmazonと呼んだのかまでは不明)

写真左は「Hot Wacks Vol.1&2」(1975年)   

写真右は「Hot Wacks Second Edition」(1976年)

 KUM BACKでよく知られている、World's Greatest RecordsのリリースされたブートレッグもWCFと呼ぶ向きもある。確かにWorld's Greatest Recordsが使用したカバーと同一のものがWCFのカバーとして認められることがあるが、同一プレートが使用されたことはまったくなく、いまだ不明な部分が多い。

 今回の「Last Live Show(WCF)」もリリースは1970年から1971年と思われるが確実な時期がはっきりとしない。

Last Live Show (TVC盤)詳細データ→ SHEA01

比較的、良好な音質でテレビ放送された内容がすべて収録されてある

「シェア・スタジアム」ライブの音源は1970年6月頃の「Dawn Of Our Innocence」(DAWN01)で初登場するが、その後「Last Live Show(TVC)」(SHEA01)も作られる。これらは60年代にテレビ放送された音がソースになっている。

 テレビ放送は、イギリスにおいては1966年3月1日BBC-1から放送された。次に8月27日にも再度放送している。一方、アメリカでは1967年の1月に放送されたが、8日であったり10日であったりと、地域によって異なっていたようだ。

 音質は「Last Live Show(TVC)」SHEA01のほうが良いため、SHEA01がオリジナル盤とする人もいるが、わずかだが収録時間はSHEA02が長い。

 また使用されているフロント・インサートは同じだが、はるかにSHEA02の画像が鮮明である。WCF盤のプレスされた時期が不明であるため、確実なことは言えないがどちらもほぼ同じ時期に同じマスター・テープから作られたのではないか。 

 ちなみにどちらも東海岸を拠点とするブートレッガーであり、SHEA01はマトリックスからニュージャージー州のプラントで作られたことがわかっている。WCFはニューヨーク州ブルックリンと言われていることを考えると、両者はきわめて近く、情報とマテリアルを共有していたとしても不思議はない。


WCFによる「Last Live Show」(SHEA02)はゴールドのジャケット、マトリックスは7001-B/Aである。

下記の分類ではMatrix 1にあたる


 WCF盤はどのタイトルもそうだが、マトリックス、カバー、レーベルが同タイトルながら変わることが頻繁にある。この「Last Live Show」もそうで、マトリックスは3パターン見つかっており、収録内容とカバーにも違いがある。

 マトリックスの違いをもとに分類するとわかりやすいため以下それを記す。(Matrix 1~3)

サイド名(1/2)はディスク・レーベルにプリントされている通り、Side 1の最初の曲が「Act Naturally」になっているため、ホワイト・レーベルのものも「Act Naturally」で始まっているサイドをSide 1とした。

Matrix 1 7001-B / 7001-A

詳細データSHEA02が代表的な例、ジャケットがゴールド・タイプのものはフロント・スリックが鮮明である。詳細データにはエントリーしなかったが、ゴールド・カバーではなく通常のホワイト・カバーでB/Wスリックのものもあるが、印刷の鮮明さは若干劣る。(写真下)「Last Live Show(TVC)」SHEA01と同じTrack Listで、放送されたすべての曲を収録してある。

Matrix 2 7001-B / (scratched out)101-A

 詳細データSHEA03及びSHEA04のタイプ。Matrix 1のタイプからSide 2のマトリックスが変わった。マスターも当然異なりMatrix1のタイプで収録されていた「I'm Down」「Interview」「Murray The Kによるアナウンス」は入っていない。Side 2の冒頭Ed Sullivanのアナウンスから始まる。7001-Aと比較するとやや出力が大きめとなっている。

写真 上段:

レッド・スリック 詳細データ→SHEA03

写真 中段:

ピンク・スリック、印刷はかなり悪い

(詳細データのエントリーは無し)

写真 下段:

イエロー・スリックで簡易カバー

ホワイト・レーベル

詳細データ→SHEA04


 このSide 2のマトリックスにおいて101-Aの前にスクラッチド・アウトされているナンバーはRP-24-BでSide 1にRolling Stonesの曲を収録した「BATTLE」というブートレッグのマトリックスである。ということはMatrix 2のパターンの「Last Live Show」は「BATTLE」の後に製作されたということになる。

詳細→BAT1        Side 1にRolling stones、Side 2にBeatlesのシェア・スタジアム・ライブを収録した「BATTLE」(BAT1のマトリックスはRP-24-Bでエド・サリバン・ショーを収録した「24X X」とは異なる)。

写真下のMatrix 2におけるSide 2のマトリックスの拡大。2つを比較すると同じもので、Matrix 2の「Last Live Show」ではRP-24-Bをスクラッチド・アウトし101-Aと書いたことがわかる。

 SHEA03ではレッド印刷のインサートであったが、そのほかピンク・スリックにB/W印刷されているものもある(こちらもエントリーはしていない)。このMatrixタイプ2では、フロント・インサートの印刷はSHEA02より劣っているが、このピンク・スリック・タイプのものはさらに印刷が悪い。

 SHEA04ではイエロー印刷で、簡易カバーとなっているが、この簡易カバーはWCFの後期、Berkeleyへの移行期間でよく見られるタイプ。

 SHEA07ではかなり印刷の悪い見開きの、直刷りジャケットにSHEA04と同じホワイト・レーベルのレコード盤が収められた。(Berkeley盤と称されるものはこのタイプからだと思われるが厳密ではない)つまりこのMatrix 2のタイプは、70年代中期まで使用されていたと思われる。

SHEA07         SHEA04と同じ見開きの簡易カバーであるが、スリックタイプではなく、両面直刷りジャケット


Matrix 3 101-(scratched out)B / 101-A

 詳細データ05/06のカバーがシルバーのタイプで、フロント・スリックがグリーン印刷のもの(SHEA05) 、通常のホワイト・ジャケットにグリーン印刷スリック(SHEA06)がこれにあたる。私が知る限りこのMatrix 3のタイプはこの仕様でしか確認していない。

 このタイプでも冒頭Ed Sullivanのアナウンスから始まり、Side 2の収録時間は短い、Side 1は基本的に7001-Bと同じであるがこのタイプではSide1/2両方とも出力が大きくマスタリングされている。


詳細データ→SHEA05/06

シルバーのジャケットに、グリーンで印刷されたスリック。レーベルはホワイト。06のホワイト・ジャケットのものはプレスが異なるようである。

Matrix 3のタイプを最後に書いたが、これは時期的にMatrix 1や2のタイプの後という意味ではない。時期は不明である。

なお、SHEA07を最後にBerkeleyに移行後、このタイトルは再プレスされることはなかった。つまりSHEA07が最後のプレスとなった。

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