Reference Datum 001

         In 1971, A lot of stampers moved to "DITTOLINO"

1971年に複数のブートレッガーから多数のブートレッグ及びスタンパーが「Dittolino」へと流れた。ここでは、いくつかの例を参考資料として取り上げたい。

Dit Ref 01. Elton John / Knockin' Em Dead Alive

このタイトルは既にPhase 2で紹介済みの正規盤発売に至ったエルトン・ジョンのライブ収録盤である。Beatlesの「Live At The Shea」と同様にKustom Rekord盤と同じスタンパーでリイシューされた。

       

         Dit Ref 02. Rolling Stones / Liver Than You'll Ever Be      → Stone Live

 写真下、上段の「Liver Than You'll Ever Be」はオリジナルであるTMOQのものではない。1971年初頭にリリースされたコピー盤だが、ディスク・レーベルのロゴから、おそらくはKustom Rekord、あるいはBeatlesの「Get Back」を製作したLemon Recordsと同じブートレッガーと思われる。「Stone Live」とタイトルされたDittolino盤では同じスタンパーでリイシューされた。スリックにプリントされたナンバリングは「0100」だが、「0010」とするのを間違えたのだろうか。

               

                Dit Ref 03. Bob Dylan / Looking Back

 Bob Dylan / Looking Backのオリジナルは写真下、上段の「Zerocks Records」盤である。このレーベルも1970年~1971年にかけて複数の良質なブートレッグをリリースした。2枚組計4枚とも同一スタンパーを使いDittolinoによってリイシューされている。スリックには「0008」がナンバリングされている。

             

            Dit Ref 04. Janis Joplin / Get It While You Can

 このブートレッグ・レーベルは次にリストする2枚(「5. CCR」及び「6. James Taylor」)のブートレッグと同じブートレッガーだが、それぞれ社名を変えているため共通のレーベル名は無い。しかし、どれもデラックス・カバー、レーベルにはタイトルと曲目がプリントされた良質なブートレッグを作っていた。写真下、上段はオリジナルとなった2枚組、下段もオリジナルの2枚がそのままDittolino名義のカバー・ジャケットに入っている。

                 

                   Dit Ref 05. CCR / Revived

 写真下、上段がオリジナルのデラックス・カバータイプ。中段がDittolino名義のカバーで、オリジナル盤がそのまま入っている。しかしこのカバーにはナンバリングが無い。下段はディスク・レーベルがDittolinoとなり、オリジナルのスタンパーでリプレスされている。この別スリックには「0005」とナンバリングされている。

               

                Dit Ref 06. James Taylor  / Tailor Made

 写真下、上段がオリジナルとなった2枚組なのだが、Rubber Dubberがリリースした「"Isn't It Nice To Be Home Again" Live At The Anaheim Convention Center 3-21-71」からコピーし作られている。カバーの裏には「THANKS TO THE RUBBER」とプリントされている。下段のDittolino盤はなぜか、シングル・アルバムとなっておりSide1の裏にSide3がプレスされている。一見上段のオリジナルと同じように見えるが、実はマトリックスの筆跡が異なっている。このケース、かなり意外だったのは、下段のDittolino盤は上段のレコードからディスク・トゥ・レコードしたものではなく、大元のRubber Dubber盤からコピーしなおしているのである。しかも結果的に音質が良くなっている。

               

                Dit Ref 07. CSN&Y / Wooden Nickel

 Wodden NickelはLiver Than You'll Ever Beと並んで、非常に多くのコピーが作られている。初期の名盤であるが、私が様々な同タイトルのレコードを聞いた限り、このCANYON盤が一番音質が良く、最初に作られたオリジナル盤である可能性が高い。リリースは1970年の春頃、ブートレッガーはHHであると思う。(2020年のWizardoインタビューにこの話は出てくる)

 ここでHHについて詳しく説明したい、HHは「Herbie Howard 」の略で、彼は仲間のブートレッガーからそう呼ばれていた。ある時期から彼はレコード番号及びマトリックスの頭にHHをつけるようになった。そのためHH Labelとカテゴライズされるようになったのである。彼の交友関係は幅広かったようで、WizardoにDittolinoを紹介したのもHHであった。HHはかなり有名なブートレッグを多数製作している。Beatlesのタイトルでは「More Get Back Session」がそうである。またRolling stonesの「Welcome to New York(TMOQ)」はHHがプレスした「Madison」からのコピーである。ちなみに「HH Label」という名称は1978年2月のHot Wacks BookⅤの「Madison」のリスト中に初登場する。

 写真下、上段はそのオリジナル盤である。中段の左はDittolino名義のカバーに、オリジナル盤が入っていて、スリックには「0003」がナンバリングされている。中段、右の写真はオリジナル・スタンパーでDittolinoレーベルによるリイシュー。下段はオリジナルのカバーの中にDittolinoレーベルのリプレス盤が入っているタイプである。このようなことは、HHとDittolinoが近しい関係だったのでできたのであろう。


      Dit Ref 08. Leon Russell / Leon The Master Of Space And Time        → Session

 やはり、Wooden Nickelなどと並んで初期のブートレッグでコピー盤が多数あるタイプである。1970年11月5日のロス・アンジェルスでのTVライブを収録したものであるが写真左のレコードは Dit Ref 03でリストした同じ「Zerocks Records」によるものである。かなり良い音質ではあるものの、さらに良い音質のものも見つかっている。さてここから話は複雑になるのだが、この写真左のコピー・ブートレッグが東海岸で作られている。マトリックスには「TVC」の文字列があるのでおそらく、Alive At Last (Flat01)やLast Live Show(SHEA01, TVC盤と同じブートレッガーと思われる。しかしその東海岸のコピー盤はモノラルであまり良くない音質であった。

 この西海岸の「Zerocks Records」盤はDit Ref 03同様、Dittolinoの手に渡り、Dittolinoレーベルでリプレスされる(写真下)。たが、カバーはこの「Zerocks Records」盤 から複写しなかった。さらに良い音質で、やはり西海岸でプレスされた「SESSION(Mother , JX-101)」(写真下、下段)のカバーから複写してフロント・スリックを作っているのである。


            Dit Ref 09. Led Zeppelin / Live On Blueberry Hill

 写真下のレッド・レーベルに「ZEPPELIN」とプリントされた2枚組ブートレッグは、1970年にPre-TMOQ(Blimp)がリリースした同タイトルよりコピーして、1971年に同じ西海岸で製作されたものである。

マトリックスは SIDE -1 S-2321/ SIDE-2 S-2322 / SIDE-3 S-2323 / SIDE-4 S-2324 となっており、

Side1の裏に、Side4が、そしてSide2の裏にSide3がプレスされている。

次に、下の写真はDittolinoがリイシューした、レッド・インクのスタンプ・カバー盤だが、Side1のみ上記マトリックスと同じでSide2~Side4はコピーし新たなスタンパーを作っている。(写真下)

Dittolino盤マトリックスは  SIDE -1 S-2321/ ZEP-2△ S-2551 / ZEP-3△ S-2552 / ZEP-4△ S-2550

となっており、Side4がS-2550となっているのはSide1の裏がSide4だからであろう。

上記2枚組のDittolino によるリイシュー盤の他に、下に2種類のシングル・アルバムでのリイシュー盤がある。スリックには「0004」がナンバリングされた。一つ目はオリジナルとなったSide2/Side3(マトリックス:SIDE-2 S-2322 / SIDE-3 S-2323)が入っている。(写真下)

2つ目はDittolinoによる2枚組リイシューのSide2/Side3が入っており、マトリックスは ZEP-2△ S-2551 / ZEP-3△ S-2552 ということになっている。(写真下)

さて、Dit Ref01から09まで9ケースをここで紹介したのだが、いかに乱発し、複雑化させたか、その一端がお分かりいただけたかと思う。彼らは賢かったのか?それとも計画性が無さ過ぎたのか?「World's Greatest 盤」や「WCF盤」にも共通するが、かなり製作者側にも無駄があったのではと考えるのだが・・・。

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