Reference Datum 003

World's Greatest Records

 Beatles 「KUM BACK」「Silver」 の参考資料として、Bob Dylan、Rolling Stones、The BandのWorld's Greatest盤データをリストしまとめてみた。「Reviews10」の方でも触れたが、World's GreatestとWCFを同一のブートレッガーとして扱うケースがあるが、このウェブ・サイトでは別のブートレッガーとして考え、その関連性は「Reviews10」の中でアプローチしている。World's GreatestはWCF同様タイトルによって変名するため、明確な定義はつけられないのだが、ここでは、1970年初頭に東海岸でに登場した、典型的なホワイト・カバーあるいは、レッド・スタンプ・カバーで製作され、マトリックスはコピー元のオリジナルを模倣するコピー盤専門のブートレッグとして確認できているものを取り上げた。

 またこのページでは、World's Greatest盤はWGの記号で表記し、同じタイトルが複数ある場合は、その整理番号の後にナンバーをつけた。オリジナルとなったブートレッグはWGOの整理番号でリストすることにした。

  World's Greatest盤はマトリックスから、何がオリジナルであるかは簡単に判断することができたのだが、「KUM BACK」同様、同タイトルでの複数のマトリックスが発見され乱雑にリリースされた印象を受ける。(あるいはマザーから新しいスタンパーを制作することをせず、頻繁にマスタリングから制作していたのかもしれない)

 

このページでリストしたWorld's Greatest盤

WG1    Bob Dylan / Stealin'

WG2    Bob Dylan /G.W.W. sings The John Birch Society Blues

WG3 Rolling Stones / Stones (Stoned, Stoned Alive)

WG4    Bob Dylan / Isle Of Weight

WG5    The Band / Live Band

 それぞれ写真は、左からカバー、レーベル、マトリックスの順だが、マトリックスは上段にSide1、下段にSide2を配置してある。なおWG3のRolling Stones/Stoned Aliveのホワイト・カバーは省略した。なお、文中「Pre-TMOQ」とはまだTMOQと自ら表記する前の時期を指している。


WG1   Bob Dylan / Stealin'

WGO1-1/2 オリジナル「Stealin'」(2種類)

「Stealin’」は「Great White Wonder」に次いで製作されたPre-TMOQによるブートレッグ。1970年の秋頃に発売された。

オリジナルとなったPre-TMOQによる「STEALIN’」は2種類確認されている。

上段のタイプをWGO1-1

下段をWGO1-2とした

ディスク・レーベルは異なっているが、マトリックスは同一である。


WG1の写真と比較すると、World's Greatest盤の方はWGO1-2の方を入手し、そのレーベルをコピーしたということがわかる。


 オリジナル盤は上段のブルーのレーベルにHer-Kub Recordsとプリントされているタイプ(WGO1-1)と、特に社名は無く曲目のみのプリントされている下段(WGO1-2)があり、どちらもマトリックスは同じである。

 WG1のディスク・レーベルはWGO-2をコピーしているので、おそらく入手したのはこちらだったのだろう。WG1のディスク・レーベルはシルバー地なので色は異なるが、その他曲目やその配置などはWGO1-2と全く同じである。

 WG1はホワイト・カバーにレッドでスタンプされている典型的なWorld's Greatest盤のカバーであるが、これ以外にも何もスタンプ及び印刷もされていないホワイト・カバーでも確認されている。マトリックスは今のところWG1のマトリックス写真のタイプのみしか確認できていない。


WG2   Bob Dylan /G.W.W. sings The John Birch Society Blues

WG2-1/2/3/4

↑WG2-1 WG2-2 レーベルにプリントされた字体と下段WG2-2のカバーにはレッド・スタンプという違いがあるが、マトリックスはそれぞれSide1とSide2ともに同じである


←上段がWG2-1

レーベルの形状は Large Type


下段がWG2-2

レッド・スタンプ・カバー

Small Type

←上段WG2-3

レーベルの形状はSmall Type


下段がWG2-3

レッド・スタンプ

Small Type 


↑WG2-3 WG2-4  WG2-4ではレーベルがパープル地となった。まずSide1のマトリックス(417-A)が異なり、さらには両方の(417-A)はどちらもWG2-1/2の(417-A)とも違うことがわかるだろうか。Side2のマトリックスでは、両方同じであるが、WG2-1/2のものとは異なっている。

Pre- TMOQによるThe John Birch Society Bluesのオリジナルも2種類確認されている

WGO2-1/2 オリジナル「John Birch Society Blues」(2種類)

「John Birch Society Blues」は「Stealin’」に次いで1970年末までには発売されていたとされている。


上段がWGO2-1

下段が WGO2-2

Side1のマトリックスは同一だが、Side2が異なる。

417-Bは同じだがWGO2-1はWGO2-2の111に書き加え、B-417(位置は逆さま)としたことがわかる。つまりWGO2-2のほうが先のプレスである。

↑ 上段(WGO2-1)と下段の(WGO2-2)はSide2のマトリックスが異なっているが、よく見ると基本的には同じで、下段(WGO2-2)の111に付け足して上段(WGO2-1)のようにしている。ということは下段(WGO2-2)のほうが先のプレスであろう。

そしてWG2のWorld's Greatest盤マトリックスを見ると、WGO2-2からコピーしたと考えられる。

 KUM BACK同様このWG2で確認できたディスク・レーベル形状はLargeタイプとSmallタイプの2種類。色は2種類であるがプリントされている字体が異なっているものがある。

また確認したWG2-1~4の4種類で、Side1のマトリックスは3種類もあり、Side2では2種類であった。

WG1とWG2では圧倒的にSmall Typeのディスク・レーベルが多い。「KUM BACK」ではLarge Typeが圧倒的に多いことを考えると、「KUM BACK」のプレスと同時期に、別のプレス機を使用していたとも考えられる。


WG3   Rolling Stones / Stones (Stoned, Stoned Alive)

 Pre-TMOQの「Liver Than You’ll Ever Be」からコピーされたRolling StonesのWorld's Greatest盤は 、「STONES」というタイトル・スタンプされているものと、「STONED」とスタンプされているもの、さらにはHeadaway Productionという社名で「Stoned Alive」というタイトルがピンク・レーベルにプリントされているものが確認できている。「KUM BACK」同様Side1/2それぞれ2種類のマトリックスが確認できており、すべての組み合わせが確認できている。


←WG3-1

レーベルの形状はSmall Type

フロントに折り返しのあるレッド・スタンプカバー

WG3ではSide1とSide2それぞれ2種類のマトリックスが確認できた。このWG3-1の組み合わせをA1-B1とする。


←WG3-2

レーベルの形状はLarge Type

光沢のあるカバー・タイプでスタンプは大きいタイプで「STONED」と押されている


上記WG3-1のSide1におけるマトリックスに違いがあるのがわかるだろうか?「2」に着目していただきたい。

Side2のマトリックスは同じなので、こちらはA2-B1の組み合わせとなる。


←WG3-3

レーベルの形状はSmall Typeで、ライト・ブルー色となっている。

フロントに折り返しのあるレッド・スタンプカバー

こちらのマトリックスでは、Side1がWG3-1と同じで、Side2がWG3-1/2と同じである。

よっての組み合わせはA1-B1である。

WGO3 オリジナル「LiveR Than You'll Ever Be」

←WG3-4

このプレスでは、カバーは何も印刷されていないホワイト・ジャケットで、社名とタイトルも「Headaway Production」という別社名で、タイトルは「Stoned Alive」である。

レーベルの形状はSmall Type

Side1のマトリックスはWG3-1/4と同じだが、Side2は上記3つのどれとも異なる。

この組み合わせはA1-B2とする。

←WGO3

Pre-TMOQのオリジナル盤では、このレッド・レーベルのLURCH Records盤の他、ブルー・レーベルのOAKLAND Records盤も見つかっているが、マトリックスに変わりはない。

Pre-TMOQによるオリジナル盤は1970年11月に発売された。WGO3のマトリックスは次のとおり、

Side1 : X-4172 △14328 ①      Side2: 1×241 △14327 ①

それに対しWG2のWorld's Greatest盤は、WG3 1~4まで

Side1 : X-4172 △14328 ①      Side2: 1×241 △14327 ②

となっている。

さて、このケース色違いを含めると3種類のディスク・レーベルとなっている。単純にオリジナルのLURCH records盤がレッド地のレーベルなので、WG3-1/2のタイプが先ではなかろうか、特にWG3-2はカバーの質やスタンプの大きさからもKUM BACK(KB10)と同時期ではないかと考えられる。となると、このWG3のタイトルでは、WG3-2 → WG3-1 → WG3-3の順にプレスされたのではないかと推察した、というのもマトリックスの組み合わせで、「A1-B1」がこの4ケース中2ケースある。残りWG3-2とWG3-4を比較したとき、当然、Large Type、ビッグ・スタンプ、LURCH Recordsの赤いレーベルであるWG3-2が先であろう。よってWG3-4は下記WG4/5と同じ遅れた時期だと考えた。


WG4    Bob Dylan / Isle Of Weight

↑上段(WGO4)オリジナル、コピー元の「Isle Of Weight」下段がWorld's Greatest盤のWG4である

1970年初頭には「Isle Of Weight」というブートレッグは複数製作され、同じコンサートを録音しているものの音源が異なっていたりする。このPIECE Records盤もオリジナルの内の一つである。World's Greatest盤WG4はレッド・スタンプ・カバーで、バックからフロントへ折り返しがあるタイプ。なおこのWG4と次のWG5ではレーベルの形状がこれまでのWorld's Greatest盤とは異なっており、別のプレス工場を使用したと考えられる。「A Jeff Charles Production」なる社名がプリントされている。

WG5   The Band / Live Band

↑上段(WGO5)オリジナル、コピー元の「Live Band」下段がWorld's Greatest盤のWG4である

WG5の「Isle Of Weight」同様レーベルの形状がこれまでのWorld's Greatest盤とは異なっており、「A Jeff Charles Production」という社名であることから、プレス時期はWG5の「Isle Of Weight」と同時期であろう。そしてどちらも社名が別であるということは、「KUM BACK」や「Silver」よりも先とは考えずらい。どちらも、折り返しのあるカバーに、レッド・スタンプということを考えると、WG3-4とともに後の時期であると思われる。

 さて、World's Greatest盤の5タイトルを紹介したが、乱雑なリリースであったことを再認識し、共通性と一貫性が見えてくるようで見えない印象ではある。しかしながら以上のことと、「KUM BACK」の詳細と既にアップデート済みの「Reviews08 "Silver" and "The Silver Album Of The Worlds Greatest"」によって、明らかになる部分もあった。詳細は「Reviews10」にまとめているので、こちらへどうぞ→Review10 World's Greatest 盤 KUM BACK

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