ビートルズ・ブートレッグ 55年目の真実

          Stories 3 「Whiskey Flats の真相に迫る!」

 Section 6       謎の空白時間とジョージが弾いたイントロ

            (The Mystery of before playing "Roll Over Beethoven")


   ではいよいよ本題に入ろう。「Whiskey Flats」の公演地はどこなのか?

  何十年にもわたり明らかにならなかったこと、それが簡単にわかるはずはない。私自身もそう思っている一人であり、これは本当に正直な気持ちである・・・。

皆さんは「Whiskey Flats」の公演を聞いて不思議に思う個所は無いだろうか?

    不思議なポイントがあるとすれば、第一に考えるところは、イントロダクションが無いことである。他のビートルズのライブ音源を聞いていて、基本的にイントロダクションが無いことなど無い。ブートレッグに使用されたマスター・テープはイントロダクションの直後から始まっていたのではないだろうか? 

 音源提供者はブートレッガーへ渡す前に、イントロダクション部分が入らないように削除した可能性は大きい。その理由は紛れもなく「音源の出所先を隠したかった」からであろう。まずイントロダクションが入っていればほとんどその公演地は明らかになる。地元の人気DJがイントロダクションを担当することはよくあることであるし、そのイントロダクションの中にスポンサー名や協賛名がアナウンスされることもよくあるからだ。

 イントロダクションが入っていると、ライブ盤として体裁がつき、リスナー側はコンサートをより楽しむことができる。しかし、音源提供者からすると危険なことであったのであろう、つまりはこのコンサートの関係者からの音源流出だった可能性が高い。

 では次に、このライブでの不思議な点はどこだろう?

 それは意見の分かれることかもしれないが、私にとっては「Things We Said Today」の終わった後であった。この「Things We Said Today」の後の奇妙な点は3つあるまず、1つ目は音が途絶えそうになる箇所がある。

←写真は「Live Concert At Whiskey Flats」(Flat11)における「Things We Said Today」が終わり、「Roll Over Beethoven」が始まる部分である。赤い矢印の箇所はちょうど「Things We Said Today」が終わって音が途絶えそうになる部分である

 上の波形写真で示すように、「Things We Said Today」の後に、「完全に」とまではいかないが、音が消えそうになっている部分がある。私には不自然さが感じられた。(注: この途絶えそうになる部分はアナログ・ブートと6のYellow DogのCDに収録されている。セクション3に参考資料としてあげた、それ以外のCDには収録されていない)

 ただ、似たような現象は他のパートでも認められた、それは出力低下とみられる現象で、「Twist & Shout」や「A Hard Days Night」の曲中にもみられるため(下写真)、最初は録音条件の悪さかなとも考えた。


←「A Hard Days Night」のジョージのギター・ソロの後、ポールの「When I'm Home ~」の直前で出力が低下する部分(赤矢印)

このような出力低下部分は「Twist &Shout」においても聞くことができた。(詳細と波形は下に記した)


 2つ目に「誰も何も言っていない」ことである。セクション3であげた、他のNoth American Tourにおけるライブを聞いてみてほしい。Vancouverの時も、Hollywood Bowlの時も、そしてIndianapolisでも「Things We Said Today」が終わった後は、必ずポールかジョンが何かをマイク・オフ気味に言っているのである。

 3つ目は「Roll Over Beethoven」のイントロである。珍しく(⁉)ジョージがスタジオ録音盤と同様のイントロで始めている。これもまた、Vancouver、Hollywood Bowl、そしてIndianapolisと聞いてみてほしい。

 この時期(64年~66年)ライブにおいて4人は歌い方にしても、楽器にしても、結構、簡略化させて省エネ(⁉)スタイルでやることが多い。このジョージの「Roll Over Beethoven」のイントロもそのうちの一つと言っていいだろう。ギターを弾く方ならお分かりだと思うが、もしもテンポ・アップしている状態や、前の曲との間にインターバルが無いときはどちらのイントロの弾き方になるか、おそらくVancouver、Hollywood Bowl、Indianapolisでの弾き方になるであろう。「Things We Said Today」が終わってから「Roll Over Beethoven」の始まりまでどのくらいのインターバルがあるだろうか?

 Vancouverでは4秒、Hollywood Bowlでは3秒、Indianapolisでは5秒であった。「Whiskey Flats」では3秒なのである。なぜ3秒しかないのにジョージはスタジオ録音盤と同じイントロで引き始めたのか?

 当初、私にとっては、1つ目のチェックポイントの疑念がそれほどではなかったものの、同時に2番目と3番目の点を考慮すると、よりいっそう、1つ目のポイントが怪しく感じられた。つまり1つ目のポイントは出力低下ではなくマスター・テープの編集した跡ではないかと考えたのである。

 前述の「A Hard Days Night」の出力低下部分以外でもそれは認められた。「Twist &Shout」においても聞くことができ(曲の最初、ジョンの「Yeah, Shake it up baby now」の直後にある)、その出力低下部分、2か所と比較すると「A Hard Days Night」や「Twist &Shout」では出力が低下しつつも一定の音量を保っている。おそらく数本ある一部マイクからの入力は保たれているからであろう。(右下波形写真)

 しかし、「Things We Said Today」の直後のパートは、ほとんど音は切れかかっている。また、音量が低下しているわずかの間に、波形が微妙に変化している(左下写真の赤の範囲)。これは編集してつなげた跡ではなかろうか?

 通常テープの音を切ってつなげると、つなぎ目の音ができてしまいすぐわかってしまう。しかし波形を目で追いながら音を聞くと、うまく短めにフェード・アウトさせ、フェード・インさせた部分とつなげたように聞こえるのである。

上写真は「Things We Said Today」が終わった直後の音が切れかかる部分の、拡大波形。わずかな間に波形が細かく変化していることが確認できる。

↓下の2つの波形は前述の「A Hard Days Night」(右)と Twist &Shout」(左)の出力低下部分。この2つでは低下しつつも、一定の音量がキープされている。

 となると、この「Whiskey Flats」には「Things We Said Today」の後に、失われた(故意に編集された)時間が存在するのではないか? それはどれくらいの長かはわからないが、数秒であればその最中にポールやジョンの声が入っていた可能性がある。また、数秒以上のインターバルがあったとすれば、十分に余裕をもってジョージはスタジオ録音盤と同じイントロで始めることができるのである。

・・・というわけで、このようなことを考えたのだが、この時点では仮定の話だし、自信もあるわけではなかった。しかしこの仮定が証明できないかどうか調べてみる価値はあると思ったわけである。

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