ビートルズ・ブートレッグ 55年目の真実

                                         Stories 3 「Whiskey Flats の真相に迫る!」

 Section 7         浮上したボルチモア公演   (It's Baltimore 13th September..?

 

 (前セクションでの仮定を証明することができないかと思い) 私は1964年のNoth American Tourの中で「Things We Said Today」の後、もしくは「Roll Over Beethoven」の前で、コンサートが中断したか、あるいは、アクシデントのような事が起こった公演は無かったかと調べ始めた。そこで浮上したのが1964年9月13日のボルチモア公演(Baltimore, 13 September)である。

1964年9月14日の「The Philadelphia Inquirer」紙は9月13日のボルチモアでのコンサートにおいて、「Roll Over Beethoven」の前に騒動があったことを伝えているのである。

←写真は1964年9月14日の「The Philadelphia Inquirer」紙

 右側拡大写真は、ちょうど騒動について書かれてある部分で、

「日曜日、50人の警官はボルチモア・シビック・センターのオーケストラ・ピットでビートルズが「Roll Over Beethoven」を演奏する前のちょっとの間、ファンによるステージへの突入を阻止した。しかし、響きと怒り(注*)というほどではなかった。」

と伝えている。

(注*「響きと怒り」(Sound and Fury)はフォークナーの小説のタイトルより引用)


 どちらかというと、この騒動は大したことではなく、記事としてはステージに突進する熱狂的なファンを50人の警察官が阻止したという、要はトラブルを未然に防いだ警察官の行動を評価するような内容なのだ。おそらく、さほど長い時間は中断しなかったことだろう。

 このように「Roll Over Beethoven」の前の中断記事を見つけることはできたのだが、残念なことに、このちょっとした騒動が、夕方の公演であったのか、夜の公演であったのかまでは書かれていない。というのもこの日、ボルチモアでは2回のショーが行われたのである。

 判断材料として、追加で2つの記事と事実も紹介したい。まず公演前日の12日の地元紙ボルチモア・サンは公演開始時間が変更になったと報じている。それによると1回目開始時間が午後2時30分が4時になったこと、2回目の7時30分が8時30分になったとのことである。また、前述の「The Philadelphia Inquirer」紙ではその記事の最後の方に、「アフタヌーン・ショーでは(中略)10人の少女が失神し、治療を受け、1人は足首を捻挫した。」と伝えている。

 警官が阻止した騒動に関する記事中でこの話題を出さずに、「アフタヌーン・ショーでは」と説明をつけていることを考えると、50人の警察官の一件はイブニング・ショーであった可能性は高い。ちなみにこのライブ中、ポールはYou Can't Do Thatの後に「Good Evening How Are You?」と言っている。

 さて、皆さんはどうお考えだろうか?

 私は、この光景を想像してみた。「Things We Said Today」の後、4人の目の前で、50人の警察官が必死になって突進してくるファンを阻止している。4人はその方向に気を取られ、そのまま状況を冷静に見つめる。大した騒動にはならなかったので、少しのインターバルをとった後、ジョージは何事も無かったようにイントロを弾き始め「Roll Over Beethoven」を演奏した・・・・・。

 そしてこの音源提供者は、このライブ音源ができるだけ出所不明のままでいてくれることを願い、冒頭のイントロダクションと、このちょっとした騒動の部分を削除し、うまくつなぎ合わせた・・・・。

 以上、「Whiskey Flats」音源は9月13日のボルチモア公演のイブニング・ショーで、音源提供者によって事前に、上記のように編集されたものであるというのが、私の検証結果である。

 ちなみに、文中にも書いたがこの途絶えそうになる部分はアナログ・ブートと6のYellow DogのCDに収録され、最近のCDには収録されていない。要は聞き苦しいと判断した部分はカットしたのであろう。そういった点からもCDはアナログ・ブートに使用された、同じマスター・テープは使っていないということになる。

「Whiskey Flatsの謎」はいつ終止符が打たれることだろうか・・・?

 仮にこのボルチモア公演説がその通りだったとしても、イントロダクションの部分か、「Things We Said Today」の後の失われたパートが陽の目を見るか、あるいは新たな映像が発掘されない限り難しいかもしれない。

 私は「Things We Said Today」の後の違和感をずいぶん前から感じていたが、ここまで掘り下げて調べたのは今回が初めてだった。というのも、どこの公演地かはあまり興味が無かったのである。どこの公演地であっても、この演奏内容は永遠に変わることは無い、おそらく「Whiskey Flats」も名盤のままだろう。(Jun, 2025)

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